新しい文化を切り拓いた池袋愛
今では池袋だけで7,000部が売れる「ワンコインランチ東京・池袋」。その誕生は必然だったのでしょうか。
3,000部も売れない本がほとんどだというこの時代。私の著作『複収入』が6月11日現在7,500部程度ですが、『ワンコインランチ東京・池袋』地域の限定性が極めて高い中での3か月ごとに7,000部です。貝原大和代表とは、出版あるあるでも、盛り上がりました。
今日、お話したいこと
1.最初にあったのは「なぜ?」の共有だけ
2.売れない在庫と250万円のマイナス
3.リスクはすべて、自分だけが背負うモデル
4.回り出した頼もしい歯車
最初にあったのは「なぜ?」の共有だけ
福岡の大学に在学していた貝原さんは、東京での就職活動のために友達3人とマンスリーマンションで生活することとなります。そこで、地方出身者の彼らが知っているターミナル駅の名前の中でダントツに家賃が安かったのが「池袋」でした。
そんなわけで、東京の会社に就職した貝原さんが住んだのも池袋。前職は、漫画喫茶の店長だったということです。
飲食店からお金をもらわずに、送客する仕組みとして、最初に実施したのが、いわゆる「街コン」でした。貝原さんの街コン事業は、東京で開催するものに関しては現在後輩に受け継がれていますが、福山市や北九州市で自身が開催する街コンに関しては、今でも安定して500名を集める優良街コンとして現存しています。
売れない在庫と250万円のマイナス
ひと言で言うと、「ワンコインランチ東京・池袋」を発行する出版社です。印刷も池袋の業者にお願いしている。純池袋産のプロダクトです。
第1号発行時、割引クーポンをお金を出して買うという概念が、まだ東京にはなかったといいます。
何もないところから、一からの説明が始まります。掲載店舗の開拓です。
まず、「お店からはお金をいただかない」というところから疑念を持たれることもあったと言います。「更新のタイミングで課金されるのではないか?」など、まずテーブルについてくれない。
書店にちゃんと置かせてもらえるのか?
どれくらいの送客をできるものなのか?
「ジュンク堂に置いてもらえるの?」池袋ではジュンク堂は圧倒的に大きな書店です。池袋に土地勘のある人は、イメージしてみてください。
説明の中での不確定事項がとても多く、苦しかったと語ります。共に立ち上げた仲間の中川さんと、大変苦しいステージを戦いました。
当初、中川さんと掲げた目標は100店舗。しかし、下方修正に下方修正を重ね、第1号は51店舗でのスタートとなりました。
さらに、1号、2号は思うように売れず、250万円のマイナスからのスタートでした。
リスクはすべて、自分だけが背負うモデル
「ワンコインランチ東京・池袋」の仕組は決して複雑ではありません。
お店からは一切のお金をいただかない代わりに、680円以上のランチを500円で提供してもらいます。これにより、もしお客さんが1人も来なかったとしても、お店へのマイナスは一切ないことが確証されます。
その上で、常識的に原価が500円以上のメニューはないので、空席があるくらいなら、お客さんが来てくれるメリットがお店にはあります。
なお、1店舗につき3度までという回数制限があるので、最大でも発行部数×3という上限のコントロールが可能です。
掲載店舗の90%がリピートするので、現在では新規営業にかける労力ほとんどなくなり、お店側から問い合わせが入るところまで来ています。
豊島区内330か所に置かれており、コンビニ、大学生協、家電量販店にまで置かれています。家電量販店のレジでのついで買い、ポイントによる購入の数が伸びているそうです。
回り出した頼もしい歯車
通常、決まったお店ばかりをローテーションしてしまうランチタイム。「ワンコインランチ東京・池袋」があることで、新規のお店への入店障壁を失くすことができます。スタンプラリー感覚で、各店舗を回ることができます。
知らない街には愛着が持てない。
もっと池袋を知って、池袋を好きになってもらいたいと貝原さんは語ります。
新しい価値観を世の中に提案するのは、とても苦しいスタートとなります。でも、1度実現すれば、見せることができるサンプルになります。百聞は一見に如かずなのです。
アイデアはいくら揉んでいても、100%理解されるものにはなりません。実現してはじめて0が1になり、改善により100%に近づけることが可能です。
今回、私が会った人
貝原大和さん(ワンコインランチ東京公式サイト)